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2022.1.8 Tetsuya Komuro「HIT FACTORY #1」Billboard OSAKA ライブレポート

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Tetsuya Komuro「HIT FACTORY #1」second stage at Billboard OSAKA


快晴の大阪。澄んだ青空の下、お正月飾りが街のあちこちで見受けられ、ひんやりとした空気の中にもどこか新春の華やいだ雰囲気が感じられるうららかな土曜日。
ビルボード大阪でTetsuya Komuro 「HIT FACTORY #1」が開催された。
セカンド・ステージの様子をレポートする。

大好評を博した11月のビルボード東京でのソロ公演直後にこの大阪公演の開催が発表され、話題騒然。今公演も即日ソールド・アウトとなった。

余談かもしれないが記しておきたい。小室さんのお休み前の最後のライブは、ご存知の通り、ビルボード大阪で行われた(2018年2月3日・浅倉大介さんとのユニット「PANDORA」としての公演)。
それから約3年の月日が流れ、終わりかもしれなかったこの場所に再び小室さんが戻ってきたことはとても感慨深く、心の底から嬉しい。

会場の照明が落ち、拍手の中、小室さんが客席を通り抜けてステージ上に。
カウントに合わせて小室さんのピアノがはじまる。1曲目は「Traffic Jam」。
ファン・コミュニティ TETSUYA KOMURO STUDIO内限定、アナログ盤でリリースされた小室さんの最新ジャズ・ピアノアルバム「JAZZY TOKEN」からのナンバー。
希望や危機感、激しさ、戸惑いやきらめき。まるで人の感情や都会の情景の瞬間を表現しているかのようなピアノのジャジーな展開に息を飲む。

「3年ぶりにビルボード大阪に帰ってきました。みなさんのおかげです。ありがとうございます。」とごあいさつ。
昨年、小室さんのお誕生日の11月27日そして26日の両日、ビルボード東京で行われた「Tetsuya Komuro Rebooting1.0」の内容を関西のお客様にもお届けしたい、セットリストはほぼ同じだが、今日のほうが少しアップグレードしているかも、と小室さん。
客席から拍手が沸き起こる。

「次の曲は宮沢りえさんに提供した楽曲で、今日はそれを歌ってみようと思います。『My Kick Heart』。」
今公演のタイトル「Hit Factory」とは1992に年リリースされた、自身の提供曲をセルフ・カバーした小室さんのソロ・アルバムのことである。
実はこの「My Kick Heart」は、当時そのアルバムに入れようかと候補に挙がっていたそう。
小室さんはビルボードのインタビューの中で、今回の公演の演奏曲のセレクトについて
「僕が作曲したこれまでの作品から、今、皆さんに聴いていただきたい曲を中心にしましたが、『My Kick Heart』を自分で歌ったのは予想外だったかもしれないですね。」と述べているが、その布石は以前からあったのかもしれない。
東京公演に引き続き、勇気づけられる歌詞を優しいピアノで弾き語る。ビルボード公演でこの曲を知った方も多いのではないだろうか。これからも小室さんに永く歌い続けてほしい一曲。

ここでちょっと和む一幕も。
お客様の中でテーブルの上にビールのグラスをたくさん並べて『TK』の文字を作っているグループがあり、それを見つけた小室さん。
「ちょっと、振らないとね。ありがとうございます。喋れないからね。お気持ちが伝わります。」
歓声があげられない中でのファンのちょっと愉快な、温かい演出。それに触れる小室さんの優しさ。そんな交流もライブならではの醍醐味だろう。

次のコーナーは「マドモアゼル・モーツァルト」。1991年に初演され、昨年秋に再演されたミュージカル。音楽を担当した小室さんも再演を観に行き、改めてよさを実感した、案外僕の曲も悪くなかったと語る。
「なにわに行ったら『なにわのモーツァルト』さんがいるんでしょう?なんてファンサイトで話していました(笑) ミュージカルで使われていた曲を組曲風にしました。そして、3年前にここで弾いた最後の曲『永遠と名づけてデイドリーム』を改めて歌ってみようと思います。」
組曲がはじまると迫力あるシンセの音色が会場に響き渡り、まるでオーケストラのよう。各曲のエッセンスを集約させたようなスペシャルな構成になっていた。

そして「永遠と名づけてデイドリーム」。
ちなみにこの曲は11月の東京公演では歌われていない。3年前に聴いた時は、再びこの曲をこの会場で聴くことができるとは想像できなかった。時が過ぎ、このステージ上で元気な小室さんを観られて本当によかったという感慨に浸る。
SNS上ではこの曲を聴いて「涙しました」「今回はうれし涙でした」のような投稿も多く見かけた。今回、明るいアレンジになっていたのもとても印象的だった。ラストに「きらきら星変奏曲」のフレーズが奏でられたのは、小室さんからモーツァルトへのリスペクトを表しているのかもしれない。

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ステージ上手のローランド「JD-08」に向かい、プリセット音を鳴らす小室さん。
TMNの時にライブツアーをやっていて、袖でこの音が鳴るとライブがはじまるよって音でした。EXPOツアーの時かな。もしかしたら来てくれていた人もいたかもしれないですね。」
客席から「行きましたよ!」の代わりにたくさんの拍手が起こる。
そしてTMNの「Time To Count Down」のイントロを弾くと、会場からはまたまた大きな拍手が。

次に、お休み期間中の2020年に乃木坂46への楽曲提供をしたこと、そして映画「SUNNY」の主題歌にもなった、お休みしてしまった女性アーティストの曲を弾きますと紹介。
「では『Route246』と、絶対にみんな知ってる曲。」
11月の東京公演の1日目のファースト・ステージのみで演奏された、乃木坂46の「Route246」がここで復活。小室さん完全復帰の過程を語る上で欠かせない重要な曲とも言える。乃木坂46ベスト・アルバムにも収録されており、同グループにとっても欠かせない代表曲となった。重厚な音色、大胆なアレンジがかっこいい。途中「Get Wild」のフレーズも入って、ソロ・ライブならではのフレキシブルな演出がとても楽しい。

そして「絶対にみんな知ってる曲」とは安室奈美恵さんの「SWEET 19 BLUES」のこと。
以前、小室さんは曲づくりの際に「イントロに命を懸けていた」と語っていたことがあったが、この曲もまさしく、イントロですぐにわかる曲。ブルースの大人っぽさがビルボードという場所にとても似合う。そしていつの時代も色褪せない名曲の風格を感じた。この曲がリリースされた当時を思い浮かべて、心の中で歌っていた方も多かったのではないだろうか。

「おそろしく静寂ですよね。偉いですよね。本当に無音です。」
観客が声を出せないもどかしさを代弁し、客席のマナーをほめてくださる。コロナ禍のライブ会場の特殊な様子。3年前と今との状況の大きな違いも考えさせられる。
大阪公演のファースト・ステージのMCでは刻一刻と変わっていく情勢の中で「1月のこの早い時期に大阪でライブができてよかった。」とポジティブにとらえていたのが心に残り、同時にファンへの思いやりを感じた。

ここで、10月から始まったTM NETWORKライブ配信「How Do You Crash It?」について。
昨年12月に「Two」の配信が絶賛のうちに終了し、2月には「Three」が予定されていることを説明。
「2月に『Three』があって、シーズン1が終わります。ということは、シーズン2があるんじゃないかな?」
会場からはうれしい予告?!に盛大な拍手が沸き起こる。

「Twoは観てくれたかな?僕のキーボード・ソロがありました。」
昔はライブでシンセサイザーを壊したりしていたこともあったが、最近はコンプライアンスが厳しい、楽器を大事にしなくてはねと話す。
「SDGsですからね。」
会場からはマスク越しに笑いと笑顔が。
「いいシンセなので壊れる寸前の音を出します。」そしてTKラボの実験がはじまる。小室さんならではのシンセの音。その臨場感はライブでしか感じられない唯一無二のもの。

実験のあとは「CAROL」。
TM NETWORKの配信ライブ「How Crash?」もストーリー仕立てとなっているが、その原点になっているのが「CAROL」。以前、テレビ番組「アナザースカイ」に出演した際に思い出の地であるロンドンに行き、当時住んでいた家を再訪させてもらったと語る。
「ああ、ここでこのフレーズを生み出して『CAROL』ができたのだと思いだしました。これも組曲風に組み立ててみましたので聴いてください。」
「CAROL」組曲がはじまる。同じようで二度と同じではない、この一瞬しか聴けない、小室さんの弾くフレーズ。これこそ小室哲哉のライブに足を運ぶ理由だろう。
マドモアゼル・モーツァルト組曲もCAROL組曲も東京公演からさらにアップグレードされ、洗練された構成になっていた。

続いて、キーが高くて、今は声が出ないところもあるが、演奏を優先するのでキーは変えないでいきたい、ピアノをがんばるのでリミックスと思ってくださいと、話す小室さん。
「静寂の中で唯一盛り上がる曲かな。では『RUNNING TO HORIZON』。」
昨年アレンジした「206MIX」を披露。「歌えるところだけ歌う、結構歌っていない」とご自身でおっしゃっていたが、この回がビルボード公演中、最も歌唱されていた。ジャジーなピアノ演奏の熱量も伝わり、会場の盛り上がりは最高潮へ。

 

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熱気の中、ピアノ・ソロへと続く。
「思いつくまま弾きます。」
「DEPERTURES」が静かにはじまる。そして「Feel Like Dance」とglobeのヒット曲が続いたあと、安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」。

そして、大阪という場所にちなんでのセレクトなのだろうか。H Jungle with Tの名曲「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」。とても叙情的な、心を揺さぶる、まさに「エモい」アレンジが心に響く。リリース当時にももちろん楽しく聴いていたが、年月を経て歌詞の意味も少しはわかるくらいには大人になったのかな、と思いをはせるような、とても沁み入る演奏だった。

そして、小室さんがステージから去っても会場の拍手は鳴りやまず、小室さん再登場!
「アンコールですね。ありがとう。では『Precious Memories』を。」
またまたラストに泣かせるようなglobeのナンバー。実際涙する人も多かったように見受けられた。
「また来ます!」と小室さん。
再度、盛大な拍手でライブは締めくくられた。

セットリストが少し変わるだけでも印象は違い、やはり小室さんの音楽の引き出しの多彩さ、奥深さを感じた。曲ができた背景や当時の様子について、アーティストから直にお話を聞きながら、リアルな音に酔いしれる空間はとても贅沢で、大人になってよかったと思うひとときだった。東京公演より1曲多く、計3曲歌唱されていたことも含め、とても心に残るライブとなった。
1月21日からはじまるビルボード東京での3Days公演にも期待が高まる。

 

小室哲哉 Tetsuya Komuro「HIT FACTORY #1」
at Billboard OSAKA 
Set Lists

M1.Traffic Jam
M2.My Kick Heart
M3.マドモアゼル・モーツアルト組曲
マドモアゼル・モーツアルトのテーマ~ある音楽家へのエピタフ~Love〜永遠と名づけてデイドリーム~きらきら星変奏曲
M4.Route246~Get Wild
M5.SWEET 19 BLUES
M6.CAROL組曲
A DAY IN THE GIRL’S LIFE(永遠の一瞬)~CAROL(CAROL’S THEMEⅠ)~Just One Victory
M7.RUNNING TO HORIZON(206 Mix)
M8. Piano Solo
DEPERTURES~Feel Like Dance~CAN YOU CELEBRATE?~WOW WAR TONIGHT
En.Precious Memories


<TK's Costume>
大阪のファースト・ステージでは11月のビルボード東京のセカンド・ステージと同じ、サンローランの赤いシャツにスリムジーンズ、セリーヌショッキング・ピンクのソックス、サンローランのローファーという華やかな出で立ち。

セカンド・ステージはライトが反射するとキラキラと光るようにも見える、サンローランのストライプの白いシャツ、そしてかわいらしいスカーフをタイにして登場し、会場を沸かせていた。きれいな髪のカラーリングとも相まってとてもすてきなコーディネートでした。

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Shirt,Shoes
Saint Laurent

Socks
CELINE

2022.1.8
Tetsuya Komuro「HIT FACTORY #1」
at Billboard Live OSAKA
1st stage

 

 
 
 
 
 
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ビルボードライブ東京公演
小室哲哉 Tetsuya Komuro 「HIT FACTORY #1」
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www.billboard-live.com

 

♬1/23のセカンド・ステージの生配信が決定!
小室哲哉 Tetsuya Komuro 「HIT FACTORY #1」
日時:1/23(日)19:30~
視聴チケット購入はこちら
https://w1.onlineticket.jp/sf/tkt10/detail/0604110003-P0030010?P6=c27&P1=0005&P59=1